空嘘とAurora

基本的に趣味と現実逃避。時々小説。

タグ:輪廻

「彼女はまだ見つかっていない。もしかしたらまだ廻っていないのかもしれないよ」 言葉無き少年の指が懐からするりと現れた。夜着代わりの色目は柳。突き出された掌に、男は内心歯噛みしつつも古い白地図を差し出した。 その表面に、インクで丸を描く。続け様に指の先。つ ...

 宵の口。明星瞬く空の下にその屋敷は在った。 鬱蒼と茂る木々に埋もれ、星雲の輝きを反射する青い屋根。次第に肌寒くなる夜風。窓の内側には淡く灯が灯っている。揺れるのは風の所為か。その揺らぎが落ち着きを取り戻す頃、次いで蒼白顔の給仕が真紅の絨毯を駆け抜けてゆ ...

「大旦那様は間もなくお目覚めになります」 どこかで見たような顔の給仕が、長い廊下の始まりで囁いた。 薄暗がりの多い屋敷の中、あちこちに似た色の翳りを纏った廊下は陰湿に足音を反響させていた。私を従える影は二つ。黒髪の給仕と、長い銀の髪をなびかせる男の姿。盗 ...

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