空嘘とAurora

基本的に趣味と現実逃避。時々小説。

タグ:空想物書きと混沌世界

 靴底の音がやけに甲高く聞こえて、思わず眉を顰めていた。 病院に似て薄暗く、学校に似てどこか騒がしい、長い廊下の最中。見分けのつかない扉が墓石のように並んでいて、その前を見向きもせずに進んで行く。行先は分かっていた。だから慣れた振りをして両足を動かす。欠 ...

 目を開けたのと、肺一杯に息を吸いこんだのは防衛本能の一連だったのだろう。 横になっているというのに、ぐらぐらと眩暈がして世界が揺れている。仕方なくもう一度強く目蓋を閉じて、呼吸をすることに集中する。 一緒に両の掌を握り込んだ。汗をかいているらしい、背中 ...

※トラックバック先:彗星舎 輪音さん 『オレの名前を言ってみろ! ⅩⅧ:【虚無の器】』 + + 黄昏と呼べる時間はとうの昔に過ぎ去り、某所、とあるマンションの一室は、無人のまま深々と帳の奥底に沈んでいた。 ひやりと冷えているはずの床板を踏んだのは、唐突に現 ...

 鴇田朝斗が終話ボタンを押したのを待っていたかのように、カウンターに立っていた青年が何気なく彼女の傍へ歩み寄っていく。 建前は彼女の零した溜息の理由、本音は、今も尚宙を泳いでいる彼女の視線の意味を問うためだった。 凝視ともいえる鋭い眼差し。初めの頃は本当 ...

 休憩時間明け。すっかり打ち解けたらしい悠花とみはるの様子を少し遠巻きに控えている男性が二人。 彼らは彼らで馴染んでいるようにも見て取れたが、それぞれの表情は若干食い違っていて、片方は時折溜息を交えながらもう片方は穏やかに微笑みながら、お喋りに花を咲かせ ...

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