文月。夏のある日、昼下がり。  杜の都という名の都市の一角、7階建の複合住宅に彼女の部屋はあった。  地上から少し離れた彼女の部屋は、幾分か涼しげだった。窓を開けておけば上手く風が吹き抜けるし、早々に吊るした風鈴が静かに夏を知らせていた。  ――にも関わら ...