空嘘とAurora

基本的に趣味と現実逃避。時々小説。

タグ:小説

 夜の到来は一瞬のことで、人で溢れる下町通りも今は暗い帳に覆われている。  いや、城下だったのはほんの数年前までのこと。商人や職人の活気であふれていた道は、今や真新しい建物が並んでいた。  褐色の煉瓦敷き、両側に並ぶ目映い瓦斯灯。夜を厭うはずの風習は僅か ...

 目を覆うほどに視界が白い。  視界の採光処理が追いつかなかった。幾度かピントとシャッターを作動させて、標準のホワイトバランスに設定した。それでも視界の白さは変わらない。やがて上半分は薄い青色であり、足元が毛糸のように柔らかな銀白であることを知った。類 ...

「『屋上に幽霊が出る』?」  興味津々の瞳をさせて、遠堂悠一がその言葉を復唱した。  噂を持ってきたのは同学年の高瀬千波だった。一見軽めの容姿をした悠一と、小柄なスポーツマンタイプの千波の共通点は同じ部活に属していること。千波は食堂横で買ったホットココ ...

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