繰り返し名前を呼ぶことだけが
私があなたを好きだという証明
この世界にあなたが存在する証拠
でなければ目蓋の裏にも残らない

こんなに苦しい夢ならば
覚めてしまえばいいのに
早く静かな夜がきて
あの眩しい太陽を隠して

ひとつ
引き込まれる笑顔も
ふたつ
心震わす声も
みっつ
逸らすことない眼差しも

そうして鏡を曇らすから
雨の代わりに埋め尽くして
心の中まで満たして
気がつけば深く溺れるまで

結局忘れられないまま
飛び起きたのに悪夢でもない
窓の外の七色に
どうしようもなく胸が軋む

ひとり
目を閉ざせばそこにあって
ふたり
振り返した華奢な手のひら
独り
蹲って 指先が痺れるまで

だからもういい
もういいよ
諦められないのなら
いつまでも苦しいのなら
その鼓動ごと握りしめて
大切に抱きしめて

もう二度と会えなくても
(また明日も会えるのなら)
私はいつまでもあなたを呼んで
あなたはいつまでも手を振って
そこに何も残らないなら
これがあなたを好きだという証明
この世界にあなたが存在した証拠

そうしたらお別れも 幸福も
なにもかも 過去にする必要も
ないのだから 私は今日も
空に輝く太陽を眩んで
夜空に浮かぶ白銀に魅入って
虹が出た朝は静かに笑うだろう

新しい今日を歓んで
新しい季節を迎えて